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『ソングス・イン・ザ・キー・オブ・Z アウトサイダー・ミュージックの巨大なる宇宙』
アーウィン・チュシド 著・喜多村純 訳・小田晶房 編/map/2006年12月10日/四六判上製・400頁

美大などの伝統的な美術教育サーキットの外から現れた、いわゆる "正統" の文脈に回収できない芸術表現を "アウトサイダー・アート" と呼んで評価する流れは、21世紀に入ってますます太く広く世に浸透しつつありますが、本書は音の世界の "アウトサイダー" たちへの関心と理解を促した決定的名著。
19世紀末に「壊滅的にヘタクソな演し物」でセンセーションを起こしたザ・チェリー・シスターズからいまも現役で活躍中のダニエル・ジョンストンまで、謎と驚きに満ちた特殊音楽の数々がどのように生み出され聴かれていたのかを丁寧な取材でドキュメント。
笑われても(たいてい)無視されても(多くの場合)貧乏でもくじけずに手探りで音を奏でる彼や彼女たちの情熱と野心にドキドキざわざわ。
「一部の好事家」だけに限らず、ものを作る人・鑑賞する人つまり全員に広く読まれて欲しいスタンダードです。かっこいい〜!

原書 "SONGS IN THE KEY OF Z: THE CURIOUS UNIVERSE OF OUTSIDER MUSIC" Irwin Chusid (A CAPPELLA BOOKS 2000)

以下、発行元であるmapのブログより:
ーーーー
“アウトサイダー・ミュージック”って、何? 

天才の音楽? ドラッグで人生を踏み外した人の音楽? 心に痛みを持った人の音楽? キ●ガイの音楽?……いや、そのすべてが間違っていて、そして、すべてが正しい。シド・バレットやキャプテン・ビーフハートのように、未だロック・レジェンドの中に生き続けている輩もいれば、シャグスやダニエル・ジョンストンのように、ある者は笑い、ある者はその音に涙するアーティストもいる。ハリー・パーチやロバート・グレッティンガーのように時代を経てついに評価された現代音楽家もいれば、いまだ失業保険で食いつないでいる名もなき天才たちもいる。ただ言えるのは、彼らの音楽には、いわゆるポップスや商業音楽のマナーでは永遠に辿り着くことができない、とんでもない謎と喜びに満ちあふれているものなのだ。もちろん、行き着く先は、天国か、もしくは地獄のどちらかだけど、ね。
 本書は、ここ日本はもちろん、世界的に見てもまったく顧みられることがなかった、そんなアウトサイダーなアーティストたちのリアル過ぎる“ドキュメンタリー”であり、世界初のアウトサイダー・ミュージック“大辞典”だ。ここに掲載されている音楽家のほとんどは、多くの人が“音楽としてすら認めない”ヘッポコでスットコどっこいでどうしようもないもの。その感受性は決して間違っているわけではないけれど、この本を読んだ後には、きっとそれらの音が違って聴こえてくるだろう。本書は、アメリカ秘境音楽の墓堀人・アーウィン・チュシドとそのバカげた仲間たちが、十余年にわたりアーティストや関係者に直接インタビューを施し、無駄な伝説を剥ぎ取ると共に、想像を絶する真実を見出したとんでもない書籍なのだ!
 例えば、最低(最高)音楽の頂、シャッグスのレコーディング・エンジニアを務めた男の言葉はこんな感じ。
 
(前略)連中が演奏を始めた。俺たちは……ミキシング・ルームのドアを閉めて………………床の上で笑い転げたさ。もう、おかしくて転がり回ったもんだよ! ものすごかった。自分たちで何やってるのか分かっちゃいないのに、(彼女たちは)いいと思ってるんだからね。完全に別世界にいるんだよ。それにね、牛みたいな匂いがするんだ。農場のすぐ外の香り。臭いってわけじゃないけど──本当に牛そのものの匂いなんだ!」

 いやはや……なんとも。しかし、これらアウトサイダー・ミュージックのアーカイヴは、本書籍だけでなく、アメリカ国内では静かに広まっている様子。たとえば、ダニエル・ジョンストンのとてつもないドキュメンタリー映画『悪魔とダニエル・ジョンストン』(2006年10月日本公開)がサンダンス映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞、またヤンデックやロッキー・エリクソン(13thフロア・エレヴェーター)のドキュメンタリー映画も完成。そして、ついに真打ちシャグスのドキュメンタリーが撮影開始されたとの話も!そしてもうひとつ。悲しいことに、シド・バレットをはじめ、本書に掲載されているアーティストが、ここ数年、まだまだ多くの謎を残したまま亡くなっている点。死後に再評価が与えられる前に、伝説ではない事実が伝えられることが何よりも望まれる。
 
 また、編集および出版元は、ダニエル・ジョンストンの奇跡の来日公演を実現し、その後もジャド・フェアやザ・レッド・クレイオラの来日(および画集のリリース)を敢行している日本におけるアウトサイダー・ミュージックの介添人“マップ”が担当。細やかな註釈は、それだけでも資料価値アリアリです。“流行の音楽”vs“時代遅れの音楽”、“良質な音楽”vs“悪質な音楽”なんてつまらないジャンル分けしかできない方には、人生通しても永遠に聴こえてこない、最低で最高の音楽ドキュメンタリー書がここに。いや、とにかく、とんでもなく面白いンスから!
 
●掲載アーティスト:シャグス、シド・バレット、ダニエル・ジョンストン、タイニー・ティム、キャプテン・ビーフハート、ハリー・パーチ、ヤンデック、ザ・レジェンダリー・スターダスト・カウボーイ、ワイルドマン・フィッシャー……他、数えられない偉人たち。
販売価格 2,800円(内税)
在庫数 品切中
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